被災地にて思ったこと
個人的に参加しているNPO団体のボランティア活動で、先週、先の東日本大震災で深刻な被害があった陸前高田と大船渡にいってまいりました。
大船渡の市議の方が「この被災の現場を多くの人に見てほしい。そして何かを感じとってほしい。」と申し出てくださり、実際に被災した現地を長い時間かけて周りました。
私にもっと文章力があればと悔しくなるくらい、表現の仕様がないほど、壮絶な光景でした。
テレビやインターネット上の画像では何度も目にしてきた姿でしたが、実際に現地で、自分の目と肌でそれを感じるのは、こんなにも差があるのかと感じます。
今回の被災は、地震によるものもあったとは思いますが、やはり津波による被害がほとんどだと実感しました。
たった数メートル、数センチ、高い場所に家があったか、川から離れたところに建物があったかの違いが、なだれ込んだ海水に人の住んでいた家屋も何もかもが根こそぎ持って行かれてしまうかどうかが決まったのだと思います。
船も車も洗濯機も冷蔵庫もパソコンも布団も、すべてがものすごいエネルギーをもった津波に飲まれ、撹拌され、破壊されていました。
その地域と、水が到達しなかったところとの彼我の差が激しすぎます。
こんな残酷なことがこの世の中に有り得て良いのだろうか、と胸が痛くなりました。
陸前高田は山間地までの距離が長く、多分美しい市街地があったであろう場所には、建物の礎石くらいしかほとんど何も残っていない状態です。
地盤沈下した堤防の突端までいったところで、女の子の人形がなぜか転がっていて、その人形と目が合いました。
この人形を持っていた子は無事だったのだろうか・・・
目の前の現実を呆然と凝視し、それから天を仰ぐしかない、その繰り返しでした。
被災された方々のニーズも時々刻々と変わり行くことも、わかりました。
津波の被害が及んでいない地域は、ほぼ電気等のインフラも問題なくなっているため、できる限り他の地域から人が現地にきて、消費をしてほしい、ちゃんとお金を落としてほしい、というのが最大の願いのようでした。
食べるものが確保され、住むところが確保されると、次は当然将来のことが心配になるため、「仕事につけること」が最も住民の方々の安心材料になるとのことでした。
私は以前このブログで、
(中略)
「国民の生命・安全を守るべき行政機関が、住民の存否の情報(データ)をしっかり一元的に把握できておらず、最新性・正確性を担保できていない状態を一日も早く改善しなければならない」
例えば、地震や水害などの自然災害が起こったときに、「誰を優先的に救わなければならないか?避難場所への誘導に助けが必要か?」といったら、まずお一人での行動が難しい高齢者や独居老人の方々のはずです。
そうした際に、「生命・安全を守るべき対象の住人や所在地の台帳」が最新化されてデータとして管理されていなければ、有事の混乱の際に適切な被災者の救済や支援ができるとは思えません。
8月3日の朝日新聞朝刊で「犯罪人名簿作成の基準や保管・廃棄時期等に明確な基準がなく、市区町村が区々で管理がバラバラになっている」という記事を目にしましたが、これも同根の事象です。
この問題の根幹にあるのは、国家の安全保障や国民の安心・安全を守るという観点からも、「日本に居をもつ住民を一意に特定でき、現住所や続柄等のデータを正確かつ最新の状態に保持するための統一的なルールや実行を担保するしくみ、ならびに、責任を持った組織」が必要ではないかと思います。
また、これは地方自治体ごとに異なった基準であることは許されません。
国民からの理解と協力を得たうえで、国全体としてのデータマネジメントの整備すべきであると考えます。
http://realize-corp.blog.so-net.ne.jp/2010-08-06
という提言を書いていました。
書いていただけでこのような大惨事がおこったときに何の役にも立てていなかったのは本当に情けないし、くやしいですが、その思いを強くしています。
自治体を超えて、首都圏や近県の親戚の家や避難場所に居を移して生活している方々の異動や安否、健康状態、連絡先などの情報を常に把握し、確実に更新する営みが確立されなければ、行政側は適切な被災者のサポートができないのではないか、と感じております。
そうした観点で、私たちは当社の本業を通じて、被災した地域の皆さまのためにできること、やるべきことがあると考えています。
これからも、そうした提言や具体化のための活動を続けていきたいと決意しております。
今何もできない私を責めないようにしています。長い時間を掛けての援助・扶助が必要になると考えるからです。
その時々でできることをしていこうというのが、最近の考え方です。
既存の、組織・システム・組織・概念・考え方を根底から改める必要がある時期になりました。全ての国民が何となくでもそのような事を考え初めていると私は思います。
このような素晴らしいブログに巡り会えた事に感謝します。これからもよろしくお願い申しあげます。
by NO NAME (2011-04-28 10:22)